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トルコ語を勉強する

トルコ語を勉強しています。研究に専念する義務があるので、トルコ語に関する論文を読んで要旨や感想を書いてみたり、トルコ語に関する興味深い刊行物があれば紹介してみたり、単語帳作ってみたり、そういうことをします。以前はタタール語についても少し書いていました。

トルコ語の色名

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トルコ語の色名

2015-8-24 公開

各種辞書、turenggoogle 画像検索などを用いてトルコ語の色 renk について調べてみました。


beyaz(白)- bembeyaz(真っ白)/ ak - apak

siyah(黒)- simsiyah(真っ黒)/ kara - kapkara

アラビア語由来の beyaz に対しては ak 、ペルシャ語由来の siyah に対しては kara という固有語があります。
beyaz はアラビア語の beyâz(乳)。乳白色 süt beyaz ですね。トルコ語では「白い」という意味で普通に使う語です。beyaz yakalı「ホワイトカラー」
ak には「清潔、純粋」というイメージがあります。公正発展党 AKP は自らを AK Parti と呼んでいますが、これはイメージ戦略のひとつでしょうね。ak saçlı「白髪の」ak düşmek「白髪が混じり始める」alnı açık yüzü ak「人格高潔」ak akçe kara gün içindir「白いお金は黒い日のため(貯金は困った時に役に立つ)」Akkoyunlular「白羊朝(歴史)」Akdeniz「カスピ海」
siyah はペルシャ語のsiyâ から来ています。siyah çay「紅茶」
kara には「不幸、恥」というイメージがあります。kara gün「ついてない日、困った日」kara gün dostu「困った時の友」kara haber「悪い知らせ」kara borsa「ブラックマーケット」kara liste「ブラックリスト」kara çalmak / kara sürmek「人の顔に泥を塗る、中傷する」kara et「脂肪が少なく筋の多い肉」Karakoyunlular「黒羊朝」kara tahta「黒板」Karadeniz「黒海」

kırmızı(赤)- kıpkırmızı(真っ赤)/ kızıl - kıpkızıl / al

アラビア語由来の語 kırmızı は普段使いの語で、赤から紅にかけての色を指します。血の色 kan kırmızı でもあります。kırmızı kart「レッドカード」kırmızı oy「反対票」kırmızı kar yağınca「赤い雪が降ったら(→ありえないこと)」para peşin kırmızı meşin「金は前払い(kırmızı meşin はただの言葉遊びです)」
トルコ語固有語としては、まず kızıl があります。kız-ıl と分析できます。色としては特に緋色のような色を指し、「赤毛」を指す際にも用います。地名では首都 Ankara の中心部は Kızılay(=赤い月)、紅海は Kızıldeniz です。また、「共産主義者komünist」のアカはこの kızıl です。kızıl deli「ひどいきちがい」kızıl iblis「大悪人」
固有語には al も存在しますが、あまり出会いません(ペルシャ語にもありますが、おそらく固有語)。典型的には朱色ですが、ピンクや褐色に近い色まで指します。トルコ国旗は al bayrak であるとされています。ですから kızıl bayrak は共産主義の旗で、al bayrak はトルコ国旗になるわけですね。al yanak「赤いほっぺ」alı al moru mor「顔を赤くして」

sarı(黄)- sapsarı(真っ黄色)

黄色ですが、「ブロンド」からかなり茶色に近いものまで含みます。sarı saçlı「ブロンドの」
また、顔色が「真っ青」なときにも用います。「土気色」ということでしょうか。yüzü sarı「顔色が悪い」sapsarı kesilmek「顔色が悪くなる」

mavi(青)- masmavi(真っ青)

アラビア語由来で、青色を指します。空は gök と言いますが、複合して gök mavisi と言うと特に淡い水色、空色を指すことができます。ターコイズブルーを表す単語は固有語にはなく(そもそもトルコ石自体トルコで産出しません)、フランス語由来の turkuaz (turkuvaz) を用いるか、yeşile çalan mavi「緑に似た青」とでも言いましょう。mavi yakalı「ブルーカラー=労働者」
上で述べたように「顔色が悪い」は mavi ではないのですが、mavi hastalık は「心臓弁膜症」だそうです。多分チアノーゼにつながる病気で、顔色が生理的に青くなることに由来するのだと思いますが、詳しいところは分かりません。

yeşil(緑)- yemyeşil

固有語で yaş-ıl と分析できます。植物の色です。特に yemyeşil は青々と茂った緑、一面に広がる自然の形容としてよく使われます。また askeri yeşil「軍の緑」と言うと陸軍戦闘服の、明度が低くて茶色っぽい緑を指します。
yeşil zeytin「グリーンオリーブ」と siyah zeytin「ブラックオリーブ」は、塩水漬けがよく朝食に食べられますね。
yeşil çay「緑茶」

mor(紫)- mosmor

ペルシア語の mûr(鉄さび)から来ているとのことです。mor kuvars「アメジスト」morötesi ışık「紫外線」
mosmor は「真紫」ということですが、「青あざ」という意味が強くあります。画像検索すると痛々しい画像ばかり引っかかります。morarmak も「紫になる」だけでなく「青ざめる」という意味があるので、morarmış などと検索するとやはり痛々しい画面になります。şiş ve mor「腫れて青くなっている」

pembe(ピンク)- pespembe

ペルシア語の penbe(綿)から来ています。綿花って淡いピンク色なんですよね。バラの色 gül pembe でもあります。色が象徴するイメージは「バラ色の人生」というイメージが少し近いのかもしれません。pembe yalan「罪のない嘘」(dünyayı) pembe görmek「楽天的に考える」toz pembe「人生の快楽」

以降は強調形をあまり使わない色名です。
kahverengi(茶色)
文字通りコーヒー色です。
turuncu(オレンジ)- (tupturuncu)
そもそも turunç が果物のオレンジで、それを色名に転じています(おそらく)。まさに「オレンジ色」ですね。ペルシャ語由来です。
lacivert(紺色)
ペルシャ語由来で、夜空の色という感じです。lacivert taş「ラピスラズリ」
gri(灰色)
フランス語由来です。グレー。

補:ala「赤褐色の、まだら色の」alaca / alacalı「まだら色の、雑色の」alaimisema「虹」esmer「こげ茶色の」yağız「黒ずんだ、栗毛の」

色の濃淡は koyu「濃い、暗い」 açık「淡い、明るい」という形容詞で表現します。ほかに soluk「あせた」
派生には以下のようなものがあります。
「〈色〉になる」:固有語は-ar、外来語は-laşによる派生が基本です。
kırmızılaşmak「赤くなる」kızarmak「赤くなる、赤面する」morarmak「紫になる、青ざめる」

また、色には-(I)msI, -(I)mtırAk「~っぽい」という指小辞をつけることができます。
sarımtırak gömlek「黄色っぽいシャツ」grimsi pantolon「灰色っぽいズボン」yeşilimsi mavi「緑っぽい青」(註:色名だけでなくacı「辛い」- acımtırak「ちょっと辛い」などもあります)

色のからむものについて。
色のからむ金属は、altın「金」gümüş「銀」bakır「銅」tunç「青銅」など。ただし「銅メダル」は bronz madalya です。altın は方言によっては「赤」を表します(語源的にも上述の al と関連があるという説があります)。
信号は yeşil、sarı、kırmızı です(見たまんま)。
ヒトの描写に用いるよく色名には次のようなものがあります。esmer「ブルネットの」kumral「髪やひげが薄茶色の」****また zenci「黒人」という語もありますが siyahi を使ったほうが良い? よくその辺の事情は分かりません。

動植物名にも色名を含むものが多数あります。日本語でも「メジロ」「クロウタドリ」「モンキチョウ」など色々いますね。色だけに。いまどきは google 画像検索があるので、一発でどんな姿なのか、ほんとにその色をしているのか確かめられますね。
mavi baştankara「アオガラ、シジュウカラ」



色に関するトピックはこのくらいでしょうか。なかなかrengârenk「色とりどりな」記事になりましたね。
今後も折に触れ用例を追加していきます。
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